福祉用具班主催「福祉用具の手作り体験」スタッフ報告(第1報)
2023.06.26
2023.5.27に福祉用具班主催の
「福祉用具の手作り体験 研修~上肢の重さを軽減する用具(PSB)を作ってみよう~」
にスタッフとして参加しました (第1報:手作り体験について)
長崎北病院 作業療法士 碇 神奈
OTとして、日ごろの臨床で対象者を前に自助具や福祉用具の提供に悩むことがあります。体験研修会では、使用する道具の特徴から個別の対象者に適応するときに注意すべき視点など講師の久保先生、淡野先生、山田先生に直接アドバイスをいだたき大変貴重な機会となりました。既製品の福祉用具が増える一方、情報を得るだけではなく対象者の特性にあわせた手作りの自助具を作る今回の体験は今後のOT人生の幅になりました。
ポータブル・スプリング・バランサーは既製品であれば20万円程度と高価なもので、上肢操作が困難な対象者に対し、作業活動や生活を支援するために腕の重さを軽減する用具です。今回、作製しましたポータブル・スプリング・バランサーは、スプリングの代わりにオートバイク用の伸縮性ゴムを使用した簡易版となります。全く同じものは難しいのですが、機能的には代替えしたものとなっております。これまで使用をあきらめていた対象者へも近隣のホームセンターなどで売っている必要な物品を組み合わせることで簡易的に低コストにて提供でき、もっと身近な自助具として多くの対象者への支援が行き届けばと思います。また、このように支援者であるOTが自助具作製をできる技術や意識を持っていることで対象者の選択肢は増え、これこそがOTの重要な役割の一つだと思いました。
小人数ではありましたが参加されたOTの方々も和気あいあいと作業活動へ取り組まれ、初めて手にする工具や作業工程などに戸惑いながらも細やかな指導で経験値を増やすことができました。OTとして、道具や材料を丁寧に扱う初心を忘れず、ものを作ることの意義や面白さを再確認し、久しぶりに行われました対面での研修会が充実したものとなりました。
最後になりましたが、今回のポータブル・スリング・バランサーに関して、材質の選定や作業工程など細部に至るまでアドバイザーの長尾哲男先生にご尽力いただきました。ありがとうございました。
製作場面。
全員が作業工程を体験し、それぞれPSBを作製しました。
自助具・福祉用具展示については第2報で報告いたします。