福祉用具班主催「福祉用具の手作り体験」スタッフ報告(第2報)
2023.08.12
2023.5.27に福祉用具班主催
「福祉用具の手作り体験 研修~上肢の重さを軽減する用具(PSB)を作ってみよう~」にて、福祉用具の展示を行いました。(第2報:福祉用具展示について)
福祉用具班スタッフより
前回、第1報でポータブル・スリング・バランサー(PSB)を手作りした体験を報告しました。
今回は、第2報として、当日並行して行われた福利用具展示について紹介いたします。
研修会当日、福利用具班がお薦めする市販の福祉用具や自助具、手製の自助具など約90品目が展示されました。
展示された中から5つの用具について紹介させていただきます。
展示1. 手製の自立式ソックスエイド
片麻痺の方でも1人で履けるように工夫されていました。
既製品よりも安く、自立した靴下スタンドに片手で靴下を履かせることができるのがポイントでした。
展示2. 車椅子のシーティングに使用する座シートたわみ補正板
安価で加工しやすいよう材料に段ボールを使用していました。強度が増すように段ボールの目の方向を互い違いに重ねた点がポイントとのことです。
車椅子座面のたわみを解消し姿勢を安定させるためのもので、このひと工夫で車椅子上の座位姿勢の改善に繋がります。
展示3. 車いす片麻痺上肢サポートクッション
片麻痺の方用の車椅子上での上肢サポートクッションです。
市販品よりも安価で作製でき、対象者にあわせビーズの量を変えることができるためフィッティングがしやすい構造でした。
展示4. 楽に正確に点眼できる点眼器
点眼瓶は硬いものが多いですが、関節リウマチ等で手指の力が弱い方でも楽に正確に点眼ができるように工夫されていました。
展示5. イレクターで作製したベッドサイドの起立支援「立とうバー」
ベッドに差し込み、安全に起立練習を行えるだけでなく、テーブルを取り付けることで作業活動もできるものです。
実際に体験もさせていただき、安定性や汎用性を実感しました。
作製者の久保先生から剛性に対する注意点など材質に関する視点や早期からのベッドサイドアプローチの重要性を学ぶことができました。
その他、服薬の自己管理・バリアフリーマップなどのデジタルアプリ、コミュニケーションエイド、上肢の重さをPSB同様に軽減するMOMOなど、初めてみる自助具や普段なかなか手に取って試すことが難しいものなど数多くの用具が展示され、日頃の臨床に役立つ情報が盛りだくさんでした。参加されたOTの方々も、思い思いに手に取って試されていました。
対象者の生活のしづらさの解決に向けた工夫はOTとして欠かせない役割の一つだと思います。情報や市販用具が増えた臨床でも、福祉用具や自助具を実際に触れる機会はまだまだ限定的で、対象者の特性に応じた用具の選定や適合に工夫が必要な場合は多く、セラピスト側の支援技術の向上も必要だと感じました。今回のように、実際に手に取って対象者目線で用具を試すことや、製作者の工夫を学ぶ機会がもっと身近にあればいいなと感じました。
先々月の日本作業療法士協会誌2023,6「福祉用具相談支援システム お役立ち通信 VOL.5 生活を彩る作業~それを支える福祉用具~」の特集に、福祉用具相談支援システムの詳細が載っています。その中に、今回の研修会で紹介があったような福祉用具・自助具の工夫『生活行為工夫情報』が協会HPからアクセスできます。臨床での福祉用具の適応・選定・適合に関する相談支援や情報を得ることができます。一人で悩まず、ぜひ利用登録を行い臨床に活用して下さい。
引き続き福祉用具班も臨床に役立つ情報を発信していきたいと思います。